クラシックなどで最高の技術と音楽性を身につけた人が(クラシックのリズム感をもって)、ジャズのアドリブ・コピー譜を見て弾いたとしても、それはジャズにはならない。ジャズの(他の音楽も)一番特徴的で大事なところは、リズムのニュアンスにある。八分音符の前後比(音量 、長さ、アクセント、音間のカーブ)などは、実に微妙で、また、場面によって相対的に変化するので、完全な記譜は不可能だからだ。
音符の微に入り細に入ったコントロール、ニュアンスのことなどマニュアル化することなどできないし、ナンセンスだ。だから、我々は聞いて覚えていくしかない。
例えば、スタンダード・ナンバーの"There Will Never Be Another You"の冒頭の部分、譜面 上は、弱起一拍を含み9個の四分音符が並び、3小節目の全音符へと繋がるように記譜されている。これを記譜どおり受けとめてそのまま弾いたとしたら、なんとまのぬ けたフレーズになることだろう。
フレージングの実際は、たくさんの名唱名演からその方法を学ぶ。バランス感覚を働かせて、フレーズ化、ジャズ化する。
〈そもそも楽譜は簡略化して書かれていると思った方がいい。〉