LOVE WILL OUT
廣木の知られざる作品をご紹介!

 LOVE WILL OUT / 廣木BAND

Lui-001 (1990)

1990年録音
3管5リズム編成の大型バンドにより廣木オリジナル曲の全7曲を収録。1975年以来変遷を重ねつつも、新宿ピットインを中心に活動してきたHIROKI-BANDの活動の成果をレコーディング。現在、日本のジャズ界を支えて活躍するメンバーによる熱演。

※申し訳ございませんがこのCDは販売しておりません。

◆メンバー: 廣木光一g 佐野康夫ds
青木泰成key 原朋直tp
竹野昌邦sax 村田陽一tb
古澤良治郎perc 上村勝正b
◆曲目:
1.Chasin'(1.4MB) 2.Love Will Out 3.Herradura 4.Lob Nor
5.Gatsu in a Crisis 6.My Treasure 7.Springboks
(All songs are composed & arranged by HIROKI Koichi)
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「LOVE WILL OUT」CD評

「スイング・ジャーナル」
 廣木のプレイは70年代末からスピック&スパンなどでたびたび見聴きしていたが、彼ならではの個性が明確に感じられるようになったのは、80年代に入ってからのことだった。それも坂田明や古澤良治郎などとの作品上のことではなく、主にライブ・ステージを聴いてのことだ。この記念すべき初リーダー作でもそうだが、ソロイストとして積極的に前に出てくるタイプではない。どちらかといえばコード・チェンジの瞬間に、特有のタイミングをもってセンスを輝かせる。"背景作りのプロフェッショナル"という職人気質に魅力の根元があるように思われる。そんな彼の初リーダー作がジャズ専門の日本の自主レーベルで制作されたのは、実にふさわしい印象を持たざるを得ない。演奏内容にも明らかなように、マス・プロダクションへの迎合主義はほとんど意中になく、不特定多数のリスナーに向けられた音楽創作の意欲と、平生の演奏活動の延長上にある勢いとでスタジオ入りしたとうかがえるからだ。集中したのは自作曲7曲を、アルバムという記録に残るメディアの中で、いかに普遍性を持たせて構築するかという点であり、そう考えることで、サウンド細部に散見できる若干の緩みなども容認することができよう。フィルモア当時のマイルス・バンドを思わせるアグレッシブな(1)(5)と、2種類の性格を持つバラード(2)(6)とのコントラストに、彼の音楽家としての奥行きと幅広さを聴いた。(成田 正氏)

「ジャズ・ライフ」
 冒頭「チェイシン」のギター・ソロが凄い。スタイルをこわすのだという強い意識。他のバラッドなどでは、むしろ伝統的に美しいピッキングを聴くことができるのでそう感じるのかもしれないが、この曲での完全にキレたかきむしりは、それだけで説得力を持つし、類型的なフレイズへの批判にもなりそうないきおいである。事実、最初のテーマでは何のことないホーン・セクションが、ギター・ソロに心をくすぐられ横ツラを飛ばされ、地が出ています。これでなきゃね。村田陽一のヴー!唸りがアンサンブルに喝を入れるのだ。この曲だけではないが、廣木のオリジナルのメロディ・ラインには、彼のファースト・テンポでの破壊的ソロに通じる不良っぽさ、一種のマイルスの世界に近いものを感じる。だが、これもテンポの速い曲でなのだが、リズムが良くないと思う。あまりおもしろくないのだ。どうしてだろう?
 ドラムならドラムのリズムだけでおもしろくなければ。絶対そう思う。
 ただそうは言っても、アルバム全体からはかなり奇妙な印象を受け、やけに引っかかるものになっている。とても文学的な感想。シニカルな短編集のような。村田陽一と原朋直という、ともに個性的なホーン奏者が前面に出ているので、廣木自身のプレイのみに集中するわりにはいかなかったのだが、こういったホーンを加えた編成でオリジナルを表現していくのか、また例えばギター・トリオというユニットも考えられうるのか、多くのチャレンジを期待したいと思う。表題曲が美しい。テーマもギター・ワークも。この美しさとかきむしりの落差が、僕はとってもうれしいのだけれど。(都並清史氏)

「FMレコパル」
 フュージョン系の音楽がそのスタイルを確立して20年。いわゆる”ジャズ・ミュージシャン”が年を追うごとに少なくなっているが、この自主制作CDの主、廣木光一はスタイルではなく、ジャズのマインドを追求しつづけている数少ないギタリストのひとりである。古澤良治朗(ds)や渋谷毅(p)との共演でその名を知られている廣木が、これまでリーダー作を出していなかったのは意外な感じもするが、このアルバムを聴けばその理由がわかる。彼は1から10まで、自分のアイデアを制約なしに実現しようと企み続けてきたのだ。(そのへんは、ぼくのライナーノーツを読んでいただきたい!)ジャズ・ギター特有のフレージングから、それを破壊するアグレッシブな奏法まで、若手のサイドメンと音の全体像を共有しようとする彼のすべてがこのCDに収められている。さらなる飛翔を。(池上比沙志氏)

「アドリブ」1990年8月号
 かたくななまでに常に自己の信念に忠実に音楽を追求するギタリスト、廣木光一が初めてのリーダー・アルバム「LOVE WILL OUT」(lui-001)を、新たに設立されたジャズ専門のレーベル「lui/ルイ」より発表する。渋谷毅、故武田和命、古澤良治郎、坂田明といったグループでの彼の演奏を知るファンの間では久しくそのアルバム・デビューが待望されていたもので、今回のレコーディング・メンバーは、原朋直(tp)竹野昌邦(ts)村田陽一(tb) 青木泰成(kyb) 上村勝正(b) 佐野康夫(ds)といった彼のレギュラー・バンドを構成する20代若手ミュージシャンに、パーカッションの田中倫明、そしてプロデビュー以来最も親交の深いベテラン古澤良治郎が特別参加したというもの。ミュージシャン各々の若々しいソロと、廣木光一による緻密なアレンジがみずみずしい緊張感にあふれたサウンドを作り出している。ジャズばかりではなくポップス、ロックといった様々な音楽の洗礼を受けながら、彼等なりの今日のジャズ/フュージョンを模索する意欲にあふれた演奏で、日本の若い世代の台頭をヒシヒシと感じさせる期待の一作である。