「オーディオアクセサリー」1996年10月号
現在の日本のジャズシーンの中でも最も脂が乗っている感のあるギタリストのひとり、廣木光一の新作。今回も前作『タンゴ・インプロビサード』と同様、アコースティックギター1本による、完全ソロレコーディングだ。市川のライブハウス"りぶる"を使ってレコーディングされている。前作がタンゴを題材にしたものだったが、今回はいわゆるスタンダードナンバーを中心に演奏されている。スタンダードの持つ美しいメロディを最大限に活かし、じっくりと歌い上げているギターソロが感動的だ。ジャズという音楽は、えてして曲のメロディを単なる素材としてしか扱わない傾向があるが、このアルバムを聴いていると、メロディを歌い上げるだけでも、十分に"ジャズ"を感じされることができるのだということを教えられる。ここでは彼がリラックスしながら、そして1音1音を大切にしながら、ハートフルに歌い上げていく。本当にいいギターだ。日本にもこんなにいいジャズギタリストがいるということを、もっともっと知ってほしい。(熊谷氏)
「ジャズライフ」1996年9月号
ギター・ソロの魅力を堪能
ガットギターを使用したソロと、b、dsとのトリオを中心に活動を続ける廣木光一はとても個性的なプレイヤーだ。そして、ライナーや資料を読むと、実にいろいろなことを考えながら音楽活動をしている人である、とも感じる。どんなことを考えているか?というと、ひとつには自分の出した音をきちんと説明できる人であるということ。このアルバムは、彼のそんな姿勢が反映された、緻密な構成のギター・プレイを聞くアルバムかもしれない。かといって、決して頭でっかちな印象を受けるわけではない。緻密であるが、プレイのスケールは大きいし、充分スイングしているので、ギター・ソロの魅力を堪能できる。ギターの音色が素晴らしいのも聴きどころ。(河原英三氏)
「スイング・ジャーナル」1996年9月号
廣木光一のソロ・ギターにより2作目。前作ではタンゴをソロ・ギターで演じて見せた彼が、今回はスタンダードを中心に挑む。タイトルからも分かるように、廣木のプレイは可能な限り無駄な音を削ぎ落としたものだ。だからこそ誰もが知っているスタンダードを選び、その判断をリスナーに委ねたのだろう。贅肉のないシンプルなフレーズ。実際に演奏してみると、これほど難しいものはない。これは大いなるチャレンジである。その上でこの作品は、そんなチャレンジ精神とは無縁に楽しむこともできる。ここが肝心だ。(小川隆夫氏)